お疲れ様です。
今日は『成長要因はタイムリーに分析するな』というテーマで記事を書きます。


仕事がうまくいっている時期。いわゆる“波に乗っている”状態って、誰しも経験があると思います。
朝からやるべきことがスムーズに進み、部下や関係者との連携もうまくいき、トラブルも最小限。
なぜか判断も冴えていて、「自分、今ちょっといい感じだな」と思える、あの独特な感覚です。
そんなとき、よく上司や先輩から言われるのがこういったアドバイスです。
「うまくいっている時こそ、ちゃんと振り返って、再現性を見つけることが大事だぞ」
「その成功、次もちゃんとできなきゃ意味ないよ」
このアドバイス、決して間違ってはいません。むしろ、一般論としてはとても正しいです。
でも私は、あえてこう言いたいんです。
「波に乗ってる時に再現性を探そうとするのは、むしろ逆効果では?」
波に乗っているときの“謎の自信”
うまくいっている時の人間の行動や発言には、ある種の“謎の自信”が宿っています。
根拠があるような、ないような。説明できるような、でもできないような。
不思議なことに、この根拠の曖昧な自信が、むしろ人を大胆にし、前向きにさせ、周囲を引っ張るエネルギーになることが多いのです。
こうした自信は、あとから冷静に分析しても、「なぜその判断ができたのか」「なぜあんなふうに周りがついてきたのか」を正確に言語化するのが非常に難しい。
無理に言葉にしようとすると、陳腐になったり、再現しようとして逆に不自然になったりします。
“再現性の罠”に陥らないために
たとえば、あるプロジェクトが大成功したとしましょう。
すると、振り返りの場で「なぜうまくいったのか」をチームで洗い出そうとします。
もちろん建設的な姿勢ですし、必要な取り組みです。
ですが、成功したその直後に、無理に全体をロジカルに分解しようとすると、かえって本質からズレてしまうこともあります。
・勢い
・その場の空気
・感覚的な判断
・周囲との暗黙の連携
こうした“言語化できない要素”が、実は大きく作用している。
そして、それらは再現しようと意識した瞬間に、すっと消えてしまう性質があります。
要するに、波に乗っている時は、“そのまま乗っている”ことに徹するのが、いちばん強いんです。
「走ってる最中にフォームを直すな」
これは私が現場でよく思い出す言葉のひとつです。
走っている最中にフォームを見直そうとすると、途端にスピードが落ちてバランスを崩してしまう。
これは仕事にも同じことが言えます。
うまくいっている時は、無理に振り返らず、まずその勢いのまま前に進む。
行けるところまで行ってみる。成果を積み重ねる。周囲の期待に応える。
この積み重ねが、自信をより確固たるものにし、あとから振り返った時により明確な言葉で説明できるようになります。
振り返りは“波が落ち着いてから”
もちろん、振り返りや再現性の分析が不要だというわけではありません。
大切なのは“タイミング”です。
波が落ち着き、忙しさにひと段落ついた時。
冷静な頭と、積み上げた結果を客観的に眺められる視点を持った時にこそ、振り返りを行うべきです。
そうすれば、成功の要因が「謎の自信」だけではなかったことに気づけるかもしれませんし、再現可能な部分と、そうでない部分の切り分けも、精度高くできるはずです。
成功は、“言語化できない何か”が支えている
私たちはつい、「すべてを言葉にできないと再現できない」と思いがちです。
けれど、仕事というのは必ずしもロジックだけで回っているわけではありません。
“波に乗ってる時の謎の自信”という、言語化しきれない力。
これは間違いなく、あなたの仕事の成功に寄与しています。
そしてその力は、下手に分析してしまうと壊れてしまう、とても繊細なものでもあるのです。
まとめ
波に乗っているときは、そのまま波に乗り続ける。
再現性や分析は、波が静まったあとに、じっくりやる。
それが、成果を最大化するために必要なマネジメントです。
そして何より、「今、うまくいっている」という流れを、自ら止めないこと。
それこそが、本当に大切な“マネジメントの力”ではないでしょうか。